FTMがなりやすい病気・健康リスク

テストステロン投与による健康リスク一覧

 

テストステロン注射などの男性ホルモン投与による健康リスクと対策について解説します。
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脂質異常症

 

 

男性ホルモンには以下の作用があります。

 

・善玉コレステロール(HDLコレステロール)低下
・悪玉コレステロール(LDLコレステロール)上昇
・中性脂肪(トリグリセライド)上昇

 

女性ホルモン(卵胞ホルモン)には以下の作用があります。

・善玉コレステロール上昇
・悪玉コレステロール低下
・中性脂肪低下

 

 

よってテストステロン投与により、
善玉コレステロールが減り悪玉コレステロール、中性脂肪が増えやすくなります。
これら3つのうちのどれかが基準値から外れると脂質異常症と診断されます。
高コレステロール血症や高脂血症とも呼ばれます。
FTMの64%にみられます。

 

 

脂質異常症になると

 

悪玉コレステロール値や中性脂肪が高いと動脈硬化が進み、脳梗塞、心筋梗塞など血管系の病気が起きやすくなります。
主に以下の病気のリスクが上がります。

 

脳梗塞
脳出血
心筋梗塞
狭心症
大動脈瘤
大動脈解離
閉塞性動脈硬化症
腎臓障害

 

 

予防法

 

・禁煙する
・適度な運動
・適正体重に近づけると同時に内臓脂肪を減らす
・規則正しい食生活
・アルコール、甘いもの、油もの、肉類を控える
・魚介類、野菜、大豆をとる

 

中性脂肪はアルコールや糖質を多く摂ると上昇します。
肥満や糖尿病でも高くなります。

 

 

脂質異常症の診断基準

 

※空腹時に採血してください。

 

 

総コレステロール≧220mg/dL・・・高コレステロール血症   

 

LDL(悪玉)コレステロール≧140mg/dL・・・高LDLコレステロール血症   

 

中性脂肪(トリグリセリド)≧150mg/dL・・・高脂血症   

 

HDL(善玉)コレステロール<40mg/dL・・・低HDLコレステロール血症   

 

 

 

多血症

 

男性ホルモンは赤血球を増加させる作用があります。
通常は男性の平均値で止まりますが、男性の範囲をさらに超えて赤血球が増えすぎてしまうのを多血症といいます。
多血症になると血液が濃くなり血流が悪化してしまい健康上の問題を引き起こす可能性があります。

 

 

症状

 

頭痛
めまい
倦怠感
高血圧

 

【重度の場合】

 

肺塞栓症
心臓発作および脳卒中などの静脈血栓症および動脈血栓症

 

 

リスクを上げる要因

 

経口、経皮での投与よりも注射(特に投与間隔が長い場合) で起こりやすいです。
注射の場合、ピーク時の男性ホルモン値が非常に高いため赤血球の増加作用も一時的に大きくなるのです。
投与間隔が長いほど一度に打つ量も多くなるため、よりピーク時が高くなります。
また年齢とともにリスクが増加する傾向があります。

 

 

対処法

 

テストステロン注射はなるべく短い間隔で打つ
瀉血(血を抜く)
禁煙する(喫煙はリスクを上げる)
アスピリン 

 

 

 

血栓症

 

男性ホルモンの作用で赤血球が増えると血液がドロドロになり詰まりやすくなります。
血栓症とは血の塊が血管を詰まらせてしまう病気です。
血栓は時間がたてばいずれ分解され消失しますが、その前に体のどこかの血管を詰まらせてしまう可能性があります。
場合によっては壊死や臓器不全が起こる可能性があります。
症状の起こった部位により病名が変わります。
代表的なものに心筋梗塞、脳梗塞、エコノミー症候群などがあります。
高コレステロールや多血症も原因になります。

 

 

初期症状

 

・急な冷や汗と吐き気
・息を吸うと胸がするどく痛む
・突然の呼吸困難、息切れ
・手足がだるい
・足のむくみ
・急激な視力低下
・痛みを伴う足の腫れ(患部を握ると痛みが増す)
・激しい頭痛
・眩暈
・顔色が悪い
・突然意識を失う
・四肢の麻痺

 

 

これらの症状がでたら直ちに病院で検査を受けてください。
※場所によっては自覚症状がなく気づかぬうちに症状が進行してしまうケースがあります。

 

血栓の検査法

 

循環器内科を受診しましょう。

 

【Dダイマー、FDP,下肢静脈エコー検査】

 

血栓があるか調べる検査です。

 

【PT,APTT,フィブリノゲン】

 

血栓のできやすさを調べる検査です。
血栓があるかどうかはわかりません。

 

 

対処法

 

血液をサラサラにする努力をしましょう。

 

・甘いものをとりすぎない
・肉や油ものをとりすぎない
・魚、野菜をしっかりとる
・喫煙、お酒はほどほどに
・ストレスをためこまない
・運動をする
・水分をとる
クリルオイルを利用する

 

 

リスクを上げる医薬品

 

トレチノイン
ダナゾール
副腎皮質ステロイド薬
トラネキサム酸
トラジロール
L-アスパラギナーゼ
遺伝子組換え血液凝固活性型第VII 因子製剤、
ワルファリン

 

 

 

痛風

 

痛風とは尿酸が体にたまり痛みや関節炎を引き起こす病気です。
尿酸値が高くなると痛風の原因になります。
女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは尿酸排泄を促進し血清尿酸値を低下させるのに対し、テストステロンは腎臓において尿酸の排泄を抑制し、血清尿酸値を上昇させます。
なので女性より男性が発症しやすく、FTMも男性並みになりやすくなります。
血液検査をした際には血清尿酸値を注意して見ておきましょう。
基準値7.0を超えると要注意になります。

 

 

症状

 

6〜7割の人がまず最初に足の親指のつけ根に痛みを感じます。
これは夜明け前や早朝に突然起こることが多く、痛みは24時間以内にピークに達し、患部は熱を持って赤く腫れます。
痛みは2週間くらいで治まりますが、放置しておくと多くの場合、1〜2年後に再発します。

 

 

対策

 

肥満の方ほどなりやすいです。
アルコールは尿酸を上昇させます。
特にビールには尿酸の原料となるプリン体が多く含まれているので飲み過ぎに注意しましょう。
その他プリン体の多い食品をとりすぎないようにしましょう。
乳製品やコーヒーに予防効果があることが分かっています。

 

 

心血管系疾患のリスク増加

 

女性ホルモンは血管に対して動脈硬化抑制作用をもっています。
テストステロン投与によって女性ホルモンが減少すると心血管疾患の増加につながります。
高血圧、喫煙などによってリスクはさらに大きくなります。
男性ホルモンの適量を大きく超えた過剰投与はたとえ若年であっても脳卒中および心臓発作のリスクが有意に増加します。

 

 

 

肝臓病のリスク増加

 

これは一部の経口投与剤のみにあるリスクです。
男性ホルモンは肝臓で分解されますが、経口投与の場合初回肝臓通過効果といって肝臓を2回通ることになり、その分負担がかかります。
毎日服用していると肝臓が疲れてしまい病気になるリスクが上がってしまいます。

 

 

対処法

 

注射や経皮投与のホルモン剤を使用する。
これらの摂取法なら非常に高用量を投与しない限りリスクはほとんどありません。
とはいえゼロというわけではないので、摂取法に関わらず肝機能検査は定期的に行っていくのが一般的です。

 

 

 

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)

 

排卵障害の一種です。
卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患です。
超音波で卵巣をみると10mmくらいの同じような大きさの卵胞がたくさんできて卵巣の外側に1列に並び、なかなかそれ以上大きくならないことが特徴で、ネックレスサインと呼ばれます。
以下の文献を参考にさせていただきました。

 

「PCOSモデルとして男性ホルモン投与性同一性障害症例を応用した研究」
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20591922/20591922seika.pdf

 

 

PCOSの症状

 

無月経もしくは月経異常
インスリン感受性因子であるadiponectionの低下
インスリン抵抗性
肥満
男性化

 

 

原因のひとつに男性ホルモン

 

PCOSは一般成人女性の5〜10%に見られる比較的頻度の高い症状ですが、とりわけFTMの発症率が高いことが統計で知られています。
そこで研究を行った結果、男性ホルモンが発症原因の一つであることがわかりました。
非トランス女性、FTM問わず卵巣の男性ホルモンが上昇するとPCOSを発症しやすくなるようです。
FTMはテストステロンにより必然的に上昇するのでPCOSの発症率が高くなります。
PCOSの本来の症状として無月経や男性化があります。
FTMは全員これに当てはまりますが、だからといってPCOSというわけではありません。
PCOSになる兆候の一つであるととらえてください。
健康なFTMは無月経、男性化という症状が見られるのみで、PCOSではありません。

 

 

発症すると

 

卵胞が十分に成熟せず排卵されないので妊娠が成立しにくくなります。
またインスリン抵抗性(糖代謝異常)の合併頻度が高いのでメタボリックシンドローム(内蔵型肥満)になりやすいです。
糖尿病U型になりやすくなり、心血管系の病気のリスクも高くなります。
子宮内膜がんのリスクが上がります。

 

 

検査法

 

血液中のホルモン検査やホルモン負荷試験、卵巣の超音波検査で診断します。
超音波検査では卵巣に普通より多い数の卵胞が見えます。
腹腔鏡下手術で卵巣のごく一部をとって顕微鏡検査をすることもあります。
病院で検査を受ける際は男性ホルモンを投与していることを医師に伝えてください。

 

 

 

がんについて

 

 

FTMが非トランス女性と比べて卵巣がんのリスクが増減するかどうかは不明です。
卵巣がんは比較的まれな疾患である上、FTM人口が少ないため研究が進んでいません。
ですが一部の医師はリスクの増大の可能性があることを指摘しています。
そのためテストステロン療法の開始から2〜5年以内に卵巣摘出術を受けることを推奨しています。
子宮内膜がんのリスクも同様に未知です。

 

詳しくはFTMのがんリスクと検査法について

 

 

 

喫煙は控えよう

 

男性ホルモンが上昇すると心臓、血管系の病気のリスクが上がりますが、喫煙はこれらの健康リスクをさらに大幅に上げます。
男性ホルモンと喫煙でのリスクは足し算でなく掛け算式で上昇します。
なのでなるべく禁煙する努力をしましょう。
ニコチンガムなどの禁煙補助を利用するのも手です。

 

 

リスクを下げるサポート品

 

nicotin
ニコレットガム(NicoretteGum)2mg[ミント味]
禁煙補助のガムです。

 

kril
南極クリルビタミン
血液をさらさらにする効果があり血栓症、心血管系の病気リスクを減らします。

 

 

 

 

関連ページ

 

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