自分に合った服用量の調べ方
男性化するための、
ホルモン剤の最適な服用量は一人一人違います。
自分に合った量を調べる方法を解説していきます。
ホルモン注射の場合は、
自分に合った投与間隔の調べ方について解説します。
自分に合った服用量の求め方(錠剤、ジェル等)
【1】 1〜3ヶ月間ホルモン剤を一定の量で服用する
↓
【2】 その後血液検査で男性ホルモン値をチェック
↓
【3】 非トランス男性の基準値と比べてみて服用量を調節
↓
【4】 【1】に戻る
【1】1〜3ヶ月間ホルモン剤を一定の量で服用する
錠剤やジェル等を使用する場合は、
毎日同じ量を服用することが大切です。
これは正しい検査値を測るために大事なのと、
ホルモンバランスを一定に保ち、
体の負担を減らすためです。
【2】その後血液検査で男性ホルモン値をチェック
血液検査で
総テストステロン値
という項目を調べます。
病院で血液検査をしてこの項目を調べてみましょう。
【3】非トランス男性の基準値と比べてみて服用量を調節
FTMのテストステロン療法の目的は男性化です。
これを達成するには、
男性と同じホルモンバランスにする必要があります。
ホルモン剤によって血中のテストステロン値が男性と同じ値になれば、
男性化が始まります。
高すぎてもよくないので、
以下の基準値を参考にしてください。
男性の基準値 277〜1111 ng/dl
女性の基準値 16〜86 ng/dl
277〜1111ng/dl以内に収まっていればOKということです。
【4】 【1】に戻る
基準値より低ければ、
服用量が足りないので増やします。
基準値より高ければ減らします。
そして新たな服用量でまた1〜3ヶ月実践し、
再度血液検査をします。
これを繰り返してください。
基準値の範囲内になれば、
それがあなたの最適な服用量ということです。
デポー注射の間隔の求め方
エナルモンデポー、
テスチノンデポー、
テストビロンデポーを使用する場合です。
注射の効き目が切れるまでの時間は個人差があります。
なので適切な投与間隔は人によって違います。
それを調べる方法です。
まず一度注射を打ちます。
そして次の注射を打つ直前に、
男性ホルモン値を測定します。
つまり男性ホルモンの血中濃度が最も下がるタイミングで測ります。
これをトラフ値(最低血中濃度)といいます。
トラフ値が男性の基準値を下回る前に、
次の注射を打つように調整していきます。
ピーク時の血中濃度を測るのも注射では大事
注射した直後は血中濃度が最も高いです。
注射後24〜48時間の間に測定することで、
ピーク時の血中濃度がわかります。
基準値よりも大幅に高すぎると、
多血症などの健康リスクが増大します。
もし高かった場合は量を減らします。
250mgであれば125mgに変更することで、
ピーク時の血中濃度を抑えれます。
125mgでもなお高い場合は、
投与間隔を可能な限り伸ばします。
よくある質問
服用量に関するよくある質問集です。
女性ホルモン値は測らなくていいの?
基本的に必要ありません。
女性ホルモン値はエストラジオール値(E2)という項目を調べますが、
この値は男性化にほとんど影響を及ぼしません。
なぜならこの値は生理周期によって大きく変動するからです。
非トランス女性であっても、
低い時は男性と同じレベルにまで低下します。
かといってそれで男性化が起こるわけではないように、
男性化に重要なのは男性ホルモンです。
なので無視しても問題ありません。
ただしホルモンバランスを知るという意味では、
テストステロン値を測るついでに一緒に調べてもらうのもいいかもしれません。
ちなみに男性ホルモンには女性ホルモンの分泌を抑制する作用があるため、
ホルモン剤を服用していれば勝手に下がります。
卵巣摘出手術を受けていない場合、
男性の基準値まで下げることは困難ですが、
それで男性化が妨げられるようなことはありません。
(女性ホルモンは主に卵巣で生産されます)
エストラジオール値の基準値【pg/ml】
一般男性 16〜71
一般女性 16〜331
FTMの理想値
卵巣摘出前 300未満
卵巣摘出後 16〜71
ホルモン値を調べる費用はどのくらいかかる?
血液検査になります。
総テストステロン値とエストラジオール値の両方で、
2000円程度(保険適用外なら7000円ほど)です。
基本的に保険適用外での検査になりますが、
医師によっては保険適応で受けさせてくれるケースもあります。
・保険適用外とは
保険証があれば医療費は本来3割負担で済みます。
しかしこれは病気の疑いがある場合に限ります。
病気の症状がない場合や、
健康診断が目的の場合は保険適用外となり、
全額自己負担になります。
なのでホルモン値の検査は基本的に全額自己負担になります。
しかし理解ある医師の方は、
保険適応(3割負担)で受けさせてくれることもあります。
適正量以上に服用すると男性化は早まる?
早まりません。
男性ホルモンが多いほど、
ドーピングのように筋肉がつきやすくなったりはしますが、
ヒゲの発達などの「男性化」にかかる時間は変わりません。
一方で副作用や健康リスクは一気に増大するので、
男性の基準値を超えるほどの投与は厳禁です。
また、体内に過剰なテストステロン(男性ホルモン)があると、
「アロマターゼ」と呼ばれる酵素によってエストロゲン(女性ホルモン)に変換されてしまいます。
これはホルモンバランスを正常に保つために体に備わっている機能です。
ホルモン剤は多すぎても少なすぎてもいけないのです。
適正量がわかった後はどうすればいい?
錠剤、ジェル等の場合は、
毎日その量を服用していきます。
注射の場合は一度決めた間隔で常に投与していきます。
ただし適正量を常に服用し続けていても、
いつの間にかホルモンバランスが変化していることがあります。
なので3ヶ月〜半年に一度のペースで、
定期的にホルモン値はチェックしましょう。
1年たって問題がなければ、
その後は検査ペースを年に一度にしても大丈夫です。
一般的な適正量はどのくらい?
ホルモンバランスは個人差があるため参考程度にしてください。
セルノスジェル・・・1日5〜10g
テストヒール(錠剤)・・・1日4〜6錠
ホルモン値を測るタイミングはいつがいい?
経口投与や経皮投与では、
ホルモンレベルが大きく変動することはないので特に気にする必要はありません。
注射では、
最低血中濃度を測りたい時は次の注射を打つ直前、
最高血中濃度を測りたい時は注射を打ってから24〜48時間に検査を受けてください。
これから開始する人へ
最初は少ない量から始めるのが一般的です。
いきなり高用量から始めるとホルモンバランスが一気に変動し、
副作用がでやすくなったり体に負担がかかってしまいます。
少ない量から始め、
ホルモン値をチェックしながら少しずつ増やしていくのが正しい流れです。
まとめ
服用量はホルモン値だけでなく、
あなたの健康状態(特に心臓と肝臓)、
男性化の進歩、
副作用の程度によって総合的に判断するものです。
自身の健康状態と心理(気分や感情)を注意深く監視してみてください。
服用量をわずかに増減させるだけでも、
大きな違いを生むことがあります。
自分に合った投与量を知るのは健康のために重要です。
多すぎては健康リスクだけが高まりますし、
低いと男性化が思うように進みません。
関連ページ
→次のページテストステロン療法をやめたい
←前のページ代表的なテストステロン剤と購入法