相互作用が起こる薬や食べ物一覧
テストステロンの働きを強めてしまうもの
テストステロンはCYP3A4によって代謝されます。(肝臓のシトクロムP-450酵素の一種です)
なのでCYP3A4の働きに影響を及ぼす薬や食べ物は薬物相互作用がでます。
以下のものはCYP3A4の働きを阻害するのでテストステロンが分解されにくくなり、過剰に作用してしまいます。
テストステロンを強める薬
・エチニルエストラジオール
・アゾール系抗真菌薬
・ケトコナゾール
・イトラコナゾール
・フルコナゾール
・マクロライド系抗生物質
・エリスロマイシン
・クラリスロマイシン
・トリアセチルオレアンドマイシン
・HIV プロテアーゼ阻害薬
・インジナビル
・リトナビル
・サキナビル
・ベラパミル
・シメチジン
・シクロスポリン
など
テストステロンを強める食べ物
・グレープフルーツジュース
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という成分はCYP3A4を阻害するのでテストステロンの作用が増加します。
この影響はグレープフルーツジュースを1回飲用した場合よりも連続飲用(1日数回や数日間連続で)した場合に強く認められます。
影響力には大きな個人差があります。
過敏な方は200mL程度でも影響がでることが分かっています。
長いと3〜7日間影響が持続する場合もあるので、1度飲んだら数日は飲まないようにするのが良いでしょう。
テストステロンの働きを弱めてしまうもの
人には酵素誘導と呼ばれる機能が備わっています。
体内に毒が侵入するとそれを分解できる酵素が自動的に活性化される機能です。
実は一部の薬でも酵素誘導は起こります。
CYP3A4が酵素誘導によって活性化されるとテストステロンが分解されやすくなり血中濃度が低下し、働きが弱まります。
テストステロンの働きを弱める薬
・リファンピシン
・リトナビル
・カルバマゼピン
・エファビレンツ
・ネビラピン
・フェノバルビタール
・フェニトイ
など
テストステロンの働きを弱める食べ物
・酒に含まれるアルコール
・西洋オトギリソウ
お酒をよく飲むとテストステロンの効き目が落ちる?
お酒は飲むほど強くなるといいますがこれは上記で説明した酵素誘導によるものです。
さらにアルコールを分解する酵素はテストステロンと同じCYP3A4です。
つまりお酒の飲み過ぎで酵素誘導が起こればテストステロンも代謝されやすくなり、効き目が悪くなります。
ちなみに酵素誘導は一時的なものです。
お酒は飲まないでいると弱くなるといいますよね。
アルコールの摂取を控えればまた元に戻ります。
お酒の強さでホルモン剤の効きやすさがわかるかも
ホルモン剤の適切な服用量が一人一人違うのは、同じ量を飲んでも人によって効き目の具合が違うからです。
これにはホルモンバランス、ホルモン受容体(レセプター)の数など様々な理由がありますが、CYP3A4も一つの要因となります。
実はCYP3A4の代謝能力にはかなり個人差があります。
その証拠にお酒に対する強さは一人一人違いますよね。
CYP3A4の代謝能力が高い人はアルコールの分解が早いのでお酒に強いです。
となると、お酒に強い人はテストステロンの分解能力も高いことになります。
お酒に強い人=ホルモン剤が効きにくい
お酒に弱い人=ホルモン剤が効きやすい
といえるかもしれません。
以上、プチ情報でした。(なんの役に立つかはわかりません)
その他の薬物相互作用
・テストステロンはワルファリンの分解を減らし、ワルファリンの抗凝固作用を高めます。
・経口糖尿病薬の低血糖効果を高め、 低血糖の危険な要因になります。
・プロプラノロールの有効性を低下させます。
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